資格も経験もないけど、子どもに関わりたいと願うあなたへ。

子どもが好きで、子どもに関わることがしたい。でも、専門の資格も、人に披露できる特技もなくて、支援の経験もない。想い以外に何もない自分に何ができるんだろう。

子どもに関わりたい、自分ができることをしたい。そう思うと同時に「一般人」である自分ができることは何があるんだろうと思う人もいるかもしれません。

専門家でなくても自分ができる範囲で、やりたいと思ったことをやる。

これは「子ども支援の経験もないただの一般人」だったというヤチさんが、インタビューで語ってくれた言葉です。「想い以外に何もない自分に何ができるんだろう」そう考えていたヤチさんが、どのように考え方が変化していったのか。インタビューで深めていきます。


榎本 八千代(ニックネーム:ヤチさん)

保育園で事務職として勤務。写真館で数千組の家族写真を撮影。その後バックパッカーとして世界各地を周遊。その中で多様な家族のあり方を肌で感じることをきっかけに「血縁を超えた関係性でこどもを見守る場づくり、ハブづくり」が人生においてしたいことだと認識。


「子ども」の居場所づくりができる環境で働きたい

ーこれまではどんな仕事をされてきましたか?
写真スタジオや、デザイン会社、広告代理店など他業種で働いていました。経歴のつながりが見えないかもしれませんが、私の中では「子ども」を軸にして仕事選びをしていました。

当時から子どもにまつわるニュースや社会課題に関しては、考えさせられることが多かったです。ただ、周囲の人の困っている声や憤りの声を聞いたときのほうが心が動き、自分ごととして捉えられていたと思います。

また、CforCを申し込んだ時にはすでに前職退職を決めていた頃で、次こそは「子ども」の居場所づくりができる環境で働きたいと思っていました。


専門資格も、支援の経験もなければ何もできない?

ーCforCを受けて感じたことはありましたか?
当時、自分は職もなく子ども支援の経験もないただの一般人でした。専門の資格も、人に披露できたり教えられる特技もなくて、支援の経験もない。想いだけで何もない自分に何ができるんだろうと考えたこともありました。

ですが、CforCの講座を受けて、それは杞憂だったと感じました。特に二人の講師の話が印象的に残っているので、紹介します。

安井さんの講座では、専門職も市民でもやってることはそんなに変わらないという言葉がありました。安井さんご自身は弁護士とソーシャルワーカーという専門性を持っていて、専門家として子どもたちに出会うことがあります。ですが、講座の中で語られた事例から、専門家だからこそ難しいこともあり、専門職も市民も共に協力できることがあると感じました。

安井さんの講座では、情緒的な理由から暴れてしまうお子さんの例から、福祉・医療・司法どの分野からも支援からも漏れてしまうというお話、専門職以外の人との関わりから容体が変化した子どもの事例などをお聞きしました。(講座レポートはこちら!

もう一人、西川正さんの講座では、ご自身の活動を紹介していただきました。保育園の親父の会で率先してあそびを作っていったり、七輪を使ったり、道端に書道の道具を置いてみたり。西川さん自身がとても楽しそうに活動をしている姿を見せていただきました。

西川さんの講座では、西川さんが活動を始めたきっかけである保育園のお話から、どうやって「つながり」を生み出していくのかなど、実際の活動についても交えながらお聞きしました。(講座レポートはこちら!


お二人の講座から、専門家でなくても自分ができる範囲で、やりたいと思ったことをやる。それが自分がこれまでやりたいと思っていたことにも繋がると感じました。

常に助けるべき対象であるといった目線ではなく、1人の人間として関わる

ー現在は子どもに関する仕事をされていますね
「子ども」の居場所づくりができる環境で働きたいと妥協せず半年かけて転職活動をして、現在は保育園で事務として働いてます。転職活動をしながら、CforCで色々な方のお話しを聞いたり仲間と話していく内に段々と自分の中の子ども観や願い、関わり方が明確になっていったと思います。

なるべく子どもを叱る褒める、常に助けるべき対象であるといった目線ではなく、1人の人間として関わるということや、子どもと一緒にただ生きていく「共生」を大切にしていきたいとか。

また、個々に合った「自己表現」を見つけることが希望だと考えているので子どもたちのそれを見つけられる場を作ったりハブになりたいとも思っています。

すぐに結果をみることができる訳ではないですが、そのためにも日々行動しています。例えば仕事では、保育園で事務として働いてますが「大人=先生」ではなく愛称で呼んでいただくようにしています。これは、この場では先生以外にもただの人間が関わってるということの意識づけの為です。

また、保育園では、保育士の先生をはじめ全員がこどもたちの様子を写真や文章で伝えているのですが、私はあくまでも「ただ一緒にこの場にいる人」として自分の目線で自分が写っている写真を使い、自分の感想を伝えることを意識しています。私の視点で伝えることでみえてくる情景があるはずと希望を持っています。

その他にも、CforCで培った考え方は今でもわたしの血肉になっていて考え方だけでなく、ワークの進め方も学びがありました。職場でワールドカフェ方式でワークもしました。当時はワーク方法を学ぼうという意識はこれっぽちもありませんでしたが、自然とやっていて自分でも驚きです。自分も周りもwell being。これを大切に生きていきます。


最初の頃は「想いだけで何もない」と考えることもあったというヤチさんでしたが、様々な分野の講師たちの話や同じ想いを持つ仲間と出会いで、むしろその想いをさらに磨いていったからこそ、今のヤチさんの関わり方が生まれていったようです。

専門の資格も、人に披露できる特技もなくて、支援の経験もない。想い以外に何もない自分に何ができるんだろう。

むしろ、その想いに向き合い、「関わり」という答えのないものについて考え続ける姿勢こそが、大切なのだと私たちは思います。

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