子どもとの関わりに「正解」はないけれど
こんにちは。ワイといいます。散歩と居酒屋が好きな30代です。
PIECESの運営にも少し関わりながら、昨年はCitizenship for Children(CforC)講座を受講していました。
私は子育て中の家庭に訪問し、家事を手伝いながら親御さんのお話を聞いたり、お子さんと遊んだりする、という仕事をしています。
ある家庭で、娘Aちゃんとも少しずつ関係ができてきたように感じられていた数回目の訪問時のことでした。楽しみにしていた親子での外出が中止になってしまったようで、Aちゃんがお母さんを責め始めました。
「約束したのに」
「うそつき」
お母さんも「しょうがないでしょ」と言いながらだんだんイライラしている様子が伝わってきます。
仲良し親子だけれど、余裕がなくなると強めに怒ってしまうこともあるお母さん。それを防ごうと「お母さんもわざと意地悪したんじゃないんだからわかってあげようよ」というようにAちゃんに声をかけていたら、
「…どうせ大人は大人の味方なんでしょー!!」と突然大泣き。
その日の帰り道は、Aちゃんの残念な気持ちにもっと寄り添えばよかったという反省、早く場を収めようと浅い声掛けをしてしまった自己嫌悪、Aちゃんを傷つけてしまったのではという後悔で頭がいっぱいでした。
私の例はかなり未熟だと思いますが、子どもと向き合う活動をしている方には、一歩間違えば相手を傷つけてしまうのではないかという恐れが浮かんだり、相手のことを思うほど慎重になって動きづらくなってしまう瞬間があるのではないでしょうか。仕事に限らず、自身の子育てをしている親御さんでも、迷うときがあるのかもしれません。
失敗(と自分では感じた事象)が続き、子どもと接すること自体に自信がなくなっていたとき、CforCの中で、支えとなった言葉に出会いました。
ほとんどが失敗。だから振り返りをしていく
プレーパークの運営など、あそびを通じて多くの子どもに関わられてきた神林俊一さん。地域の子ども・中高生・大人とも、絶妙なコミュニケーションで関係を作ってきた経験を、ユーモアも交えながらお話してくださいました。
どんな人とも上手に関わっていくんだろうな、と思いながらお話を聞いていた中、失敗経験について問われ、こう語られました。
失敗だらけですね。特にはじめましての子どもと向き合った時にはほとんどが失敗なのかなと思っているんですよ。
それに対して、振り返りをすることが重要だと思っていて。
はじめましての子供が来たときに、なんて声をかけようかという選択肢を考えて、「こんにちは」と言ったとする。その子が少しぎこちない表情で「こんにちは」と返事をしたとする。
その一連に対し「ぎこちない表情だったということは、もうちょっと違ういい方でもよかったのかな、でも初めてだったからしょうがないのかな」と振り返っていく。
そうやって毎回失敗しながら、この子にとっての近づいていい距離感はどれくらいなんだろう、というのを考えていくんだと思うんですよね。
ベテランで超人感もある神林さんが、「ほとんどが失敗」と堂々と仰るのを聞いて、失敗を過度に恐れなくてもいいし、そこから積み重ねていくことのほうに焦点を充てたらよいのだな、と気持ちが切り替わっていきました。
※神林さんの講座レポートはこちら
子どもの言葉に心で答えると、
例え間違っていても優しい答えになる
地域で、子どもたちに丁寧に伴走を続ける山下仁子さん。様々な環境にいる子どもたちに、柔らかに・でも意志をもって関わられているお話には引き込まれっぱなしだったのですが、最後にこのような言葉をくださいました。
子どもが伝えてくれた言葉とか思いを、心で聞いて心で答えると例えそれが正解じゃなかったとしても、頭で考えてポンって出した答えよりは間違っていても優しい答えになるんじゃないかな
Aちゃんに何というのが「正解」だったのか…と振り返りがちだったのですが、結果よりも、Aちゃんに向き合う姿勢を問われた気がして、はっとしました。同時に、心で向き合っていればいいのだ、と、活動している自分のことを肯定できるようになりました。
私はその時の自分の悩みに光をくれた、これらの言葉が特に印象に残ったのですが、同じ講義を聞いた他参加メンバーは、それぞれまた違うフレーズを心にしまっていたようで。(一人で聞くだけではなく、他参加者と感想を共有する時間も、私にとっては悶々する気持ちを吐き出せる、貴重な時間でした。)
正解を教わるのではなく多くの視点をくれる講師陣の講座は、子どもや社会に向き合っている・向き合いたいと考えている方には、心からおすすめしたいです。自分自身のケアのためにも。
※山下さんの講座レポートはこちら