想いを受け止め合う自己紹介 〜オンラインで安全基地をつくる〜
自己紹介と聞いた時に思い浮かべるのはどんなイメージでしょうか。初めましての人同士が出会う、緊張感が漂っている、簡単に自分の概要を話すなど、人によって様々なイメージが湧くかと思います。
私たちPIECESが行う3ヶ月のプログラムでは、1番最初にオンラインで参加者で集まったときに、自己紹介をします。そこでは70分もの時間を使って自己紹介をしています。なぜそんなにも時間を使うのか、自己紹介をどう位置付けているのかについてお話ししようと思います。
「自分なりの子どもとの関わり」を探求したい人が集まる場
私たちが行うCitizenship for Children(略してCforC)は、一般市民向けに行っているプログラムです。参加する皆さんが共通するのは、「子どもたちのために自分にできることをしたい」という想いと、「あのときの自分の子どもに対する行動はよかったのだろうか」という葛藤です。
そうした想いと葛藤を持った人たちが集い、専門家の視点を学び、仲間と共に「自分なりの子どもとの関わり方」を探求していきます。
想いを受け止め合う自己紹介
「自分なりの子どもとの関わり方」を探求する上で、事例について自分だったらどうするだろうと考えてみたり、これまでの自分の関わり方について振り返ってみたりします。そこでは、自分でも気づいていなかった自分の価値観について出会う瞬間があり、それは痛みを伴う場合もあります。
葛藤や自分が感じたことについて、お互いに受け止めあって探求する。
そのためには、共に学ぶ仲間との関係性が、安全基地になってなければ難しいです。だからこそ、CforCでは一番最初に丁寧に自己紹介を行います。名前や出身地などの情報だけでなく、なぜ参加したのか、どんなことを大切にしたいのかなど想いについて語ってもらいます。悔やんだ過去がある人、今の自分のあり方を変えたいと思っている人、一歩踏み出すきっかけにしたい人。それぞれの参加者の想いを受け止め合う時間は、もはや「自己紹介」という言葉ではないのかもしれません。
そんな想い受け止め合う自己紹介について、2名の参加者から感想をいただきました。参加者目線からどんなふうに感じたのか、ぜひご覧ください。
ぽんたさん(30代 / 地域活動・任意団体)
「市民性とこどもへのまなざしを考えるツキイチ」
このプログラム?研修会?いまいち何を学ぶのかわからないままに申し込みをしました。漂う温かい空気感と今の自分に必要な時間と体験になりそう、約2年前にPIECES理事の斎さんにお目にかかり、初見にも関わらず子どもたちとの関わりについて相談をさせてもらった有難い印象も参加動機の大きな要因でした。
オンライン開催ということで全国から参加する他者や自己を“みつめよう“とする新たな仲間との画面越しの対話の時間はあまり緊張を感じることのない不思議な時間でした。それは運営してくれている皆さんの配慮や準備があったことはもちろんだと感じましたが、様々な思いが巡っているであろう他者の気持ちを受け止めようとする、初めましての仲間たちが持つ何かがあった。その何かは、画面上でうなずく様子だったり優しい表情、まなざし、身振り手振り、今までの温かな他者との関わりの経験、なのかもしれない。コロナ禍だからこそできる“みつめる“から始める市民性と子どもたちへの優しいまなざしの探求を楽しみにしている。
あにーさん(20代 / 大学生)
自分の感情を受け止めてくれることが、自分の存在を肯定してくれることに繋がり、自分のbeingを受け止めてくれると感じれるようになる。
最近「基本的自尊心」という言葉をよく耳にしますが、私自身それがどういうものなのかよく分かっていませんでした。今回の講義で、子どもの行動を具体的に言葉にしてあげる、自分がどう感じたかを伝えてあげること(I message)が、子どものbeingを受け止めることにつながるんだなと思いました。
そんな“beingを受け入れてくれる“雰囲気はCforCのゼミにもあるなと感じました。うまく話せなくてもいいし、きれいにまとめられなくてもいい。モヤモヤがあっても大丈夫。自分が感じたことをありのままに聴いてくれるクラスのメンバーに、初回ゼミとは思えないくらいの安心感を感じました。
オンラインで関係性を築く
「CforCはオンラインなのに、こんなに関係性ができるのが不思議」
CforCの修了生が言ってくれた言葉です。近い志を持った仲間がいて、想いを共有できる時間があり、互いの葛藤について真剣に言葉を掛け合う。そんな仲間と時間があれば、オンラインで一度も対面で会ったことがなくても、信頼できる関係性は作れます。
そして、そのために互いを受け止め合う時間として、私たちは自己紹介の時間をたっぷり使っています。