千葉県松戸 "こんなところが欲しい"から生まれたほっと一息つける居場所

まちの中にはさまざまな場所があります。学校、市役所、コンビニ、駄菓子屋、カフェ。役割を持った場所もあれば、一見役割があるけれどそれを超えたやりとりや雰囲気が生まれる場所もあります。

今回はそんな場所をHIPAHIPAスポットと呼び、全国で一斉にHIPAHIPAスポットを開くイベント「HIPAHIPA week」の一環として、地域での実践のお話を聞きました。

今回話を聞いたのは「さくら広場」を運営する、にむらさん。にむらさんはPIECESが行っているプログラムCitizenship for Children(CforC) 2021年の修了生です。CforCの受講前である6年程前から千葉県松戸市、松戸駅の近くにある賃貸物件で地域の人が気軽に立ち寄れる居場所を作る活動をしています。

いつでも気軽に来られる、ということを大切に

平日は毎日休みなく開いているため「家の鍵を忘れた!」など子どもが困った時にはいつでも頼れる場所になっています。また以前は有料での運営でしたが、現在は無料で解放されているため小学生でもふらっと立ち寄ることができます。友達と一緒に遊びに来る子もいれば、一人で携帯をいじったり本読んだり、宿題をしたり。長居してもすぐに帰ってもいい。みんな思い思いの過ごし方をしています。

"子どもの居場所"にかける情熱

居酒屋が好きだというにむらさん。 行けばほっと一息つくような居酒屋のような場所が子どもにもあればいいのにな、という思いからさくら広場は生まれました。きっかけは当時小3だった自身の子どもが放課後に行く場所が学童くらいしかなく、子どもの居場所が他にも欲しいと思ったこと。 子どもと一緒にゼロから何か作ってみたいという気持ちと、社会福祉学部を卒業した後に会社員として働きながらもまたどこかで子どもに関わることをやりたいという思いを持っていたことも後押しとなりました。子どもの居場所がないという現実を前に感じた、静かな怒りにも似た思いは「ないなら作ればいい!つべこべ言わずに自分が作ってみよう!」 という熱い情熱に変わり、大きな行動を起こす力となりました。

迷いながら続けてきた6年間

特別なことではなく子どもたちの日常の中にいる大人一人ひとりが、一市民として子どもと接したいという思いで「さくら広場」を続けてきたにむらさん。しかし専門家というわけでもなく、普通の母親であり会社員である自分が居場所を運営することにどこか自信を持てず、迷いもあったそうです。

そんなときに見つけたのがCforCプログラムでした。子どもの日常に関わる人たちの市民性の醸成、地域や社会の中に潜在する「自分にできることで子どもや地域・社会と関わりたい」という想いを社会の力に変えていく。そんな理念が心に響き「私に必要なものはコレだ!」と受講を決めました。

CforCを受講したことで、自分がやっていることを肯定できたこと、気持ちを見つめ直して間違っていなかったと答え合わせができて安心した部分もあり、一方で新たな知識を得て子どもへの寄り添い方、観察して気付いてあげる事など、もっとできることがあると思えたことはにむらさんにとって大きな糧となったと言います。

むすびに

自身の子育てで気付いたニーズをもとに市民の立場からできることを考え、行動に移し、試行錯誤を続けて6年。気に掛けていることが子どもにも伝わっていると感じられたり、何年か経っても顔を見せに来てくれる子がいたりと、日々の励みになる出来事がたくさん記憶に残っているそう。子どもたちにとってもにむらさんにとっても「さくら広場」は大切な場所になっています。

執筆:松田真由美
編集:くりちゃん

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【記事掲載】HEDGE GUIDE にCforCが紹介されました。