地域住民との関係性を育む商店街と、地域の日常を醸すオープンな場「+laugh」

*こちらは修了生のスポットに遊びにいくイベント「HIPAHIPAweek」で作成したnote記事を転載しています。

自然が身近な諏訪名店街

東京都多摩市にある「諏訪名店街」は、京王・小田急永山駅から歩いて15分ほど。長い大通りをずっと進んでいき脇にある階段を上ると、広場のように道が広がっていて、パン屋さんやお弁当屋さん、雑貨屋さんなどが並んでいます。道の真ん中には木が植えられていたり、お店の目の前には遊歩道があったりと、のどかな場所です。

のどかな雰囲気の「諏訪名店街」

地域に住む多様な人が集まり、「いってらっしゃい!」と会話が生まれる「+laugh」

+laugh(アンドラフ)」は2021年4月1日にオープンした、重症児者向けの施設です。施設正面にある大きな窓は開かれており、そこに座っておしゃべりしたり、併設されている駄菓子屋さんでお菓子を買ったりすることができます。親子連れで足を運ぶ姿もありました。職員の方が小窓から顔を覗かせてやり取りしてくれます。

駄菓子を買いに来る地域の方々

また、施設で過ごす利用者さんと交流する風景も生まれています。利用者さんが散歩に出かける時には、周りにいた大人も子どもは自然に「いってらっしゃい!」と言いながら手を振っていました。利用者さんもそれに応えるように、職員の方の力を借りながら手を振り返していました。

利用者さんと地域の子ども

2階はフリースペースとして、いつでも誰でも無料で地域へ開かれています。木を活かした造りで、キッチンや本棚などが置かれていて、家にいる時のような落ち着きのある優しい雰囲気をどこか感じます。子どもが黙々とゲームをする様子もありました。

フリースペースではワークショップが開かれることもあるとか

重症児者と地域を繋ぐきっかけの場

代表のかげさんは、自然に視界の端に重症児者の方がいる日常をつくりたいとの思いで「+laugh」を運営されています。

駄菓子を買いに来た子どもたちは、経管栄養のために利用者さんの鼻に管を通していることに対して、「それ何やってるの?」「大丈夫なの?」と偏見を持たず純粋に聞いてきてくれるとのこと。職員の方が質問に答えると「そうなんだ!」と普通に受け入れてくれるそうで、かげさんはそういった風景が生まれていることが嬉しいと言います。

はじめは障害の重い方との関わり方が分からずに少し遠巻きに見ていた大人も、そういったやり取りから、徐々に距離感が近づいていく風景がたくさんあるとのこと。そして「+laugh」は外から丸見えの状態で運営しているので、高齢者の方が利用者さんの様子を気にかけてくれたりもするそう。

かげさんはドラマチックなエピソードは求めておらず、商店街という日常の景色の中に自然体で重症児者が存在しているという事を大切にされていて、それによって地域が徐々に醸されているという実感があるとお話してくださいました。

* * * * *

私が「+laugh」を訪ねた時は、他の団体が一角のスペースで絵本プロジェクトやしゃぼん玉を飛ばす企画が行われていました。偶然通りかかった子どもが絵本やシャボン玉を楽しんだり、影近さんとモルックで遊んだり、お菓子を買ったり。お母さんは様子を見守っていたり、お話をしたりする。1つの空間で、これほどまでに色んな風景が見られることに驚きました。

また、そもそも重度障害のある方と関わる機会の少なかった方々にとって、「+laugh」は事業所を地域に開かれていることでハブのような役割を果たしているのだと感じました。

+laught
住所:東京都多摩市諏訪諏訪5-6-3 多摩ニュータウン諏訪102号室
アクセス:京王/小田急永山駅から徒歩15分

執筆:はるか
編集:くりちゃん

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